堀野:そういう、自分たちの考えを言い合える文化を、どうやったら広めていけるのか、と個人的にはよく考えます。
八木:少しづつだけど、前進はしていると思いますよ。
今回の原発事故で大変な犠牲を払ったけれども、デモという手段があるんだとか、パブリックコメントという方法があるんだとか、「自分たちの考えを社会に表明することが出来る」ということは皆学んだと思います。そこはちょっと前進じゃないかな。
堀野:そうやって、社会は徐々に変わっていくものなのかもしれないですが。
震災当時は、これをきっかけに、すごい変革が起こるかなとも思いました。だけど、2年経って、表面上はそんなことはない。それにがっかりすることもあるけれど、「あの時あれだけ出来た」という記憶はまだ残っている。
八木:元に戻った方が楽なんだと思いますよ。
変えることはパワーが必要だし。やっぱり、多くの人は思考停止してしまう。エネルギー問題とか大きな事には自分は関われないし、きっと誰かがきちんと判断し対応してくれるはず、と。そんな風に考えるのを止めてしまうのは危険なんですけどね。
堀野:すぐには変化という「結果」は出ないんだけど、今日みたいな場を作っていくことで、みんなの中に何かが積もっていくんだろうと思います。そして、学生のみんなが社会の中心世代になった時、もっと目に見える形で世の中が変わっていくかもしれないですね。
(終)
開発教育協会(DEAR)について
DEARは、「開発教育」を推進するためのネットワークNGOです。 開発教育とは、私たちひとりひとりが、開発をめぐるさまざまな問題を理解し、望ましい開発のあり方を考え、共に生きることのできる公正な地球社会づくりに参加することをねらいとした教育活動。教育関係者、NGO・NPO、青年海外協力隊OB・OG、国際機関、国際交流協会、自治体、そして研究者や学生など、幅広い層が参加しています。 1982年に発足して以来、開発教育と呼ばれる国際理解や国際協力をテーマとした教材の発行(約30点)や、講師派遣(年間150回)、参加型学習の普及推進を行なっています。教材『ワークショップ版・世界がもし100人の村だったら』で国際人権教材アワード受賞(2004年)。
(関連ページ)
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開発教育教材「もっと話そう!エネルギーと原発のこと」について
2011年3月の福島第一原発事故を受けて、DEARで作成された教材です。教室や市民 による学びの場で活用できる16の参加型学習のプログラムと、中学・高校、大学、教員研修での5つの実践事例を収めています。 この教材の目的は、エネルギー政策や原発の賛否を問うのではなく、一人ひとりが未来の社会をつくる当事者として、まずは知ること、そして安全に話し合う場をつくること。原発停止をめぐる様々な意見を読み比べたり、新聞記事を読んで自分の気持ちを話し合ったり、あるいは、身近なテクノロジーの利用について規制が必要かどうかを議論する16の教案が収められています。
(関連ページ) >> もっと話そう!エネルギーと原発のこと((特活)開発教育協会HP)
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